お盆にそうめん!その意味は?ちゃんと理由があった!
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最近では夏休みの延長でお盆休みをとらえるひとも多くなってきました。でも、そこは日本人。お盆には帰省、と決めているご家庭も多いことでしょう。
それはさかのぼれば江戸時代に、奉公していた商家の使用人などが休日をいただいて親もとへ帰る慣習からきているという説もあります。
お盆の行事は宗派や地域によっても様々ですが、一般的にあまり知られていない内容をお伝えしてみます。
まずは何故そうめんを盆棚(ぼんだな)にお供えするのでしょうか?
そうめんを供える意味
夏といえばあっさりさっぱり食べやすいそうめんがご家庭のメニューとして毎日のように食卓に並ぶかもしれません。
ご先祖様も召し上がれ? ということなのでしょうか。
盆棚にも掛けるわけですが、その理由は諸説あり、はっきりとは分かっていません。
色々な説はありますが以下がそれらをご紹介します。
- 生命の螺旋状の渦巻
- 七夕にそうめんとの関係
- 幸せが細く長く続く
- ご先祖様が馬にのって帰るときの手綱
- ご先祖様の荷物をくくる荷綱
これらの解説を記したのが以下です。
宗教的なアプローチでは、螺旋状の渦巻に意味がある、というものです。森羅万象、生命は螺旋の回転によって結ばれているという考えから、そうめんの渦でお盆におりてくる霊を集め、そうめんは慰霊のあと川に流すか、ひとの入らない土地に埋めるという風習があったそうです。
近代解明された生命をかたちづくるDNAが螺旋状であることを考えると、不思議な感じがしますね。
あるいは七夕にそうめんを供えていた流れを汲んでいるとされています。7月7日の行事である七夕は、昔からお盆と深い関係があり、笹には先祖の霊が宿るともいわれているそうです。
織姫が登場することからも察せられるように七夕は機織=縫い仕事の上達を願い、糸に見立てたそうめんが供物とされたわけです。
また、平安時代に宮中の七夕行事にそうめんが供物とされてきた理由は、そうめんを食べれば熱病にかからないとされていたからだそうです。
現代からみると、そうめんは暑くて食欲がないときでも食べやすいものという認識ですが、平安時代は違ったのですね。
昔はそうめんが高価なもので贅沢品という認識だったそうです。昔の人にとってはあまり食べることができないものだったからこそ病気にかかりにくいと言われていたのかもしれません。
この七夕行事がご先祖様つながりで盆棚にも取り入れられたという説。
それから、そうめんが細長いことから幸せが細く長く続く、というおせち料理みたいな縁起をかついだ理由からお供えに用いられたという説。
お盆におりてきたご先祖様が盆棚を飾る馬にのって帰るときの手綱としたという説。
牛で土産物(私たちがお供えしたもののことですね)を運ぶために荷物をくくる荷綱になるという説。
なかなか想像力があると思いませんか。でもこの説がけっこう有力なんですよね。
以上が盆棚にそうめんをお供えする理由でした。
ところで、私は子供の頃、夏休みになると毎日のようにそうめんを食べた苦い思い出があります。
そんなそうめんの歴史、ご存知ですか?
そうめんが伝わるまでは、索餅(さくべい)という食べ物を作っていました。米粉を使ったお菓子です。ただ、索餅づくりには苦労をしたそうです。
そんな中、そうめんは、鎌倉時代に中国からもたらされました。臼で挽いた細かい小麦粉を油を用いて伸ばしていくという作り方はそれまでにない麺製法で、この方法が広く知れ渡りました。
このようにして、今私たちが食べているそうめんが出来上がりました。
それと、先ほどから盆棚、盆棚と出てきていますが盆棚とは何なのでしょうか?あまり聞いたことがない言葉なのでご紹介します。
お盆のお供え。『盆棚』って?
盆棚のことを精霊棚ともいいます。
お位牌、お盆の供え物と、供養したいかたの好きだった物などを置きます。
正式には祭壇の四隅に青竹を立てて、しめ縄をめぐらせます。結界を張るわけです。霊供膳は供養膳にお供えし、盆棚の両横に盆提灯をともします。
しめ縄に茹でずにそうめんや昆布、ほおずきを吊るし、お位牌は最上段、一番奥に置きます。仏壇から全部とりだして中央に代表になるお位牌、両側に古いお位牌、と横一列に並べていきます。
手前に以下をつくって飾ります。
- 生花
- 果物
- 型菓子
- 白い団子
- 茄子
- 牛や胡瓜の馬
ほかには以下を並べます。
- 茄子や胡瓜をさいの目にして米を混ぜた水の子
- みそはぎの花
- お線香
- リン
朝晩に新しいお水も綺麗なコップに注いでお供えします。地域によっては、そうめんの代わりにうどんをつかいます。
かなりスペースをとるので、難しい場合は仏壇に盆飾りをしたり、経机や小机などの真ん中にお位牌を安置して、茄子の牛や胡瓜の馬とお供え物を並べます。
盆飾りにつかわれる花を盆花(ぼんばな)といい、普通は秋の花を選びます。
以下がそうです。
- 山百合
- ハギ
- 桔梗
- オミナエシ
- ナデシコ
最近では故人の好きだった花や、綺麗な生花を飾っても良いとされています。
お盆にいただく精進料理
お供えのお膳は霊供膳(りょうぐぜん)といいます。通常、ご家庭で家族が食べる内容と一緒の食事をお供えします。
お盆のあいだは気合を入れて特別なメニューにとりかかる奥様もいらっしゃるようですが、基本的には一汁五菜、本式の葬儀では二汁五菜を用意します。五菜が大変であれば三菜でも充分です。
メインのおかずは以下のものでしょう。
- 野菜の煮物
- 野菜の炒め物
- 野菜の和え物
肉料理は避けてつくります。毎日3食はムリでも、お盆のあいだに1食だけでもお供えして、家族も同じものをいただいて、ご先祖様を偲ぶことができれば良いですね。
お供えする場合の箸は、お位牌のあるほうに向けて置きます。放置せずに下げたあと、食べられるものはいただきます。
以下の日にちに以下のものを供えるところもあります。
- 8月13日はお迎え団子(あんこのついたお団子)
- 8月14日はおはぎ
- 8月15日のお昼は清らかな器に茹でたそうめん
- 8月16日は送り団子(白い団子)
そうめんには、つゆと箸もつけます。うどんを供える地域もあります。
親戚のおもてなし
お盆といえばご供養ですが、いちばん大変な点が親戚の集いですね。パーティメニューのお寿司をふるまうご家庭が多いようです。手作りにこだわるかたは、ちらし寿司。おとなも子供も一緒に囲んで楽しんでいただいたり。
まとめて沢山つくれるといえば、炊き込みご飯とから揚げが定番でしょうか。大皿料理で豚の角煮もおいしそうです。クーラーを効かせてカレーにサラダも作りやすい。ほかに夏野菜をたっぷり使って手間いらずのバーニャカウダもテーブルに彩りを添えてくれます。
アルコール好きなおとなの集まりには、チーズにカナッペと、おつまみも用意すれば完璧ですね。ちくわの穴に胡瓜やチーズを差し込んで爪楊枝でとめても、カンタンです。タコさんウインナーを添えたらカワイイかも。
まとめ
お盆にそうめんをお供えする理由は以下でした。
- 生命の螺旋状の渦巻
- 七夕にそうめんとの関係
- 幸せが細く長く続く
- ご先祖様が馬にのって帰るときの手綱
- ご先祖様の荷物をくくる荷綱
年中行事として必須のお盆ですが、あまり知らない部分もあったのではないでしょうか?
祖先の霊を祀るために旧暦7月15日に設定されていますが、仏教だとは言い切れない日本独自のといって差し支えない慣わしも多いそうです。日本には仏教の前に古神道がありましたし、長い歴史を経て現在のかたちがあるといえそうです。
細かい形式にとらわれず、ご先祖様を敬い、今の自分があるのはご先祖様のおかげという感謝をこめて、お盆を過ごしましょう。