お盆に釣りに行くのはダメ?殺生をしてはいけないの?
公開日: : 最終更新日:2019/07/30
お盆は、死者の魂が現世に還ってくる期間です。
そして水辺は、『あの世とこの世の境目』とも言われています。
お盆の時期に海や川などの水辺に行くと、「死者の魂に引きずられてあの世に連れて行かれてしまうよ!」という話を聞いたことがありませんか?
言い伝えの域を出ない話ですが、今回はそんなお盆に釣りや殺生をしてはいけない理由をまとめてみました。
目次
なぜお盆に釣りなどの殺生をしてはいけないと言われるの?
◇お盆に殺生をしてはいけない理由
お盆に釣りや狩りなどの殺生をしてはいけない理由としては、いくつかの説があります。
真偽は定かではありませんが色々と調べてみました。
お盆は『不殺生戒』の期間
お盆の期間は『不殺生戒』の期間です!
『不殺生戒』というのは仏教用語で、生物の生命を経つことを禁じた戒めです。
犯した者はたとえ僧伽であっても追放される最も重い罪なのです。
わざわざお盆に精進料理を食べてまで『不殺生戒』を守っているにも関わらず、魚釣りで殺生をしてしまったら元も子もありませんよね?
『罰当たり』なんて言われ兼ねません。
【精進料理】
精進料理とは肉や魚を使わずに、野菜や豆類のみを使って作る料理のことです。
元々は、仏教の教えの『不殺生戒』が由来しており、肉などを使わないものを『精進料理』と呼ぶようになったようです。
その仏教の教えが今も根強く残っており、故人が還ってくると言われているお盆には精進料理でお迎えするという風習になっているのです。
本来は私達もご先祖様と同じ精進料理をいただきながら感謝の気持ちを持って供養するとされていましたが、時代の流れや地域によって変わってきています。
最近では親戚が集まるこの時期に、お寿司や刺身、焼肉などで再会を喜ぶ家もあるようです。
久しぶりに会った孫に美味しいものを食べさせてあげたいというおじいちゃん、おばあちゃんの気持ちもわかりますしね(^^;
ちなみに、精進料理の反対語に生臭料理というのがありますね。
生臭坊主は戒律で禁止された肉類を平気で食べる坊主を指し「怠け者」という意味も含まれます。
なんだかうなずけますね(*_*;
お盆はご先祖様が還ってくる日
お盆に殺生をすると「還ってきたご先祖様達が嘆いて、あの世に戻る時に、子孫を連れて行ってしまう」というようなことも、昔は言われていたようです。
ご先祖様は、私たちが誤った方向へ行かないよう見守ってくれているのですね。
お盆は『地獄の釜の蓋』が開く日
悪行を犯して地獄にいる者達は地獄の釜に放り投げられて焼かれるそうです。
お盆は地獄の番人の鬼すらもお休みをもらえる日と言われており、その間だけ釜の蓋が開け放たれます。
当然望ましくない悪しき霊たちもやってくる訳ですから、戒めを破っている人間を探し回るのです。
そんな時に、死者の魂の通り道である水辺に近付いて殺生でもしようものなら、地獄の者達に仲間と間違われて引きずられてしまい、「地獄の釜に焼かれてしまう」という言い伝えがあるようです。
※地獄の釜の蓋が開く日については諸説あるようです。
リリースなら釣りをしてもいい?
これにも複数説ありますので、確かな情報ではありませんが…。
『キャッチ&リリースなら不殺生なのでOK!』と言われることもあります。
せっかく数少ないまとまった休日であるお盆ですから、好きなことをして過ごしたいですよね?
結局のところは個人の感じ方次第なので、周りから何を言われようと本人が「大丈夫!」と思えば釣りをしても良いのでしょう。
上記の理由から、少しでも「気が引けるな…」と思うならば、自粛すれば良いのですから。
きっと、その間をとっての『キャッチ&リリース』なんでしょうね。(笑)
しかし言い伝えのようなものではなく、自然的な意味でお盆の海や川には危険が伴いますので、それに関しては意識的に注意が必要です。
それについては後ほど詳しくお話したいと思います。
お盆は水辺に近づいてはいけない?
前記したように、お盆は死者の魂が戻ってくると言われていますが、全員が全員帰る場所のある魂ばかりではないのです。
しかし、帰る場所を失った魂も「誰かが迎えに来てくれる」と思っているので、お盆に水辺に近付くと、その寂しい魂に「迎えが来た!」と思われて引きずり込まれるのだそうです。
お盆時期に出てくるクラゲも、実はその成仏できない魂達の化身だという説もあるくらいです。
お盆の海は危険?
前項でも少しお話しましたが、お盆の時期の水辺は自然的な意味で危険なのです!
クラゲの大量発生
お盆明け頃から、クラゲが大量に発生するようになります。
ちょうどクラゲの子どもが大人へと成長する時期と、お盆の時期が重なることが大量発生の原因だと言われています。
【クラゲに刺されたら危険!】
- 毒を持っている!!
- 刺されると…痺れ、呼吸困難、パニック症状に陥る!!
- 上記の症状により溺れる可能性がある!!
大潮
お盆の時期は、月と太陽の関係でちょうど大潮になる時期なのです。
そのため、潮の満ち引きがいつもより早くて海が荒れると言うわけです。
そんな状態で海に入れば、当然危険ですよね?
土用波
夏の土用の時期(これがお盆の時期にあたる)に発生する大波のことを『土用波』と言います。
この大波には、台風が影響していると言われています。
遠洋で発生している台風の影響で、いきなり、かなりの高波が発生することもあるので、海に慣れている人でも波にさらわれてしまう可能性がある程危険なのです!
このような自然的な現象が、お盆の時期にちょうど重なることも「お盆の海は危険」と言われている要因のひとつなのでしょう。
心霊現象は目に見えませんが、自然現象は目に見て明らかなので、注意するに越したことはありませんよね。
お盆とは?
お盆の時期は一般的に、8月13日~16日とされています。
※地域によってお盆の時期は異なる場合があります。
正式名称は『盂蘭盆会(うらぼんえ)』。
ご先祖様が苦しまずに成仏してくださるように、子孫が供養をする時期のことをそう呼んでいます。
日本では、お盆の時期は親族が一同に会し、亡くなった方々の冥福をお祈りするのが習わしですね。
そして、お盆に行われる『盆踊り』にも、実はちゃんとした意味があるのをご存知でしょうか?
出典:https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kohokotyo/koho/h23/230911/tpx/index.html
【盆踊りの由来】
- お盆の供養で成仏することができた魂達が、喜び踊る姿を表現したものであるという説
- お盆に家に還って来たご先祖様達を供養すると共に、一緒に現世へやってきた鬼や無縁仏を追い払うための舞であるという説
今では由来を知っている人もほとんどいないでしょうが、盆踊りの由来にも数説あると言うわけです。
最近では、『盆踊り』は夏の風物詩のひとつとして人々の交流の場となり、訪れる秋の風を感じながら踊りを楽しむ、というものになってきていますね。
それはそれで、またひとつの理由としては素敵なのではないでしょうか。
最後に
今回はお盆に殺生してはイケない理由を書きました。
以下がそうでしたね。^^
- お盆は『不殺生戒』の期間
- お盆はご先祖様が還ってくる日
- お盆は『地獄の釜』が開く日
お盆に釣りに行ってはいけない理由、は『心霊的な言い伝え』から『自然的な危険性』まで様々な意味を含んでいることがお分かり頂けたかと思います。
これらはあくまで『言い伝え』や『危険性』なのであって、『決まり事』ではないわけです。
結局は個人の感じ方なので、どうしてもお盆の時期に釣りに行きたい方は、危険性もきちんと考慮した上で、ご自身がとれる最大の安全策をとってお出掛けされてはいかがでしょうか?
お盆に親御さんなどから釣りを止められる理由の中には、「親戚が集まる時期なんだから、釣りになんか行かずに久しぶりにみんなで顔を合わせましょうよ。」という皮肉な意味合いも込められているのかもしれませんね。(笑)