蚊を絶滅させる方法!絶滅したら生態系に影響はある?
公開日: : 最終更新日:2018/12/26
もうすぐ猛暑を迎える季節。夏というと、いや~な「蚊」の存在がありますね。
寝ている時にブーンと音を立てて飛んで来たり、はたまた昼間に外を散歩している時に草むらの中から知らぬ間に近寄ってきてかまれたり…。
私も、毎年何箇所も刺されて、かゆいしあとに残るし大嫌いです!!
「もういっそのこと、この世から蚊なんていなくなってしまえばいいのに…」
皆さん、そう考えたことは1回ぐらいはありませんか?
しかし、蚊だって生き物であり、この地球を支える生態系のひとつです。
なので、今回は「蚊を絶滅させる方法はあるのか?」また「蚊が絶滅したら生態系への影響は?」などについて探っていきたいと思います。
蚊を絶滅させる方法は?
蚊を絶滅させる取り組みは、各研究者や研究団体によって行われています。
近年では、「不念雄散布」という方法でメスの蚊を減らす試みがあります。
そもそも、人間の血を吸う蚊はメスだけです。メスは自分の子供である卵に栄養を届けるために人間や犬など生き物の血を吸って生きています。逆に、オスの蚊は草の汁だけを吸って生きています。
そこで、オスのサナギに放射線を当て、生殖能力を破壊したオスを大量散布し、野生のオスと競合させて交尾の成功率を下げる方法です。
生殖能力を破壊されたオスと交尾をしたって、メスの蚊からは子供が産まれませんからね。
さらに数年前にイギリスの研究者らによって開発された遺伝子組み換えの蚊も大きな成果を上げています。
この遺伝子組み換えは、蚊自体の抗生物質をなくすことによって、蚊が幼虫から成長できずに死んでいくというものです。
遺伝子組み換えをしたオスの蚊がメスと交尾して子供が産まれても、幼虫のまま成長できなかったら成体の蚊はどんどん減少していきますよね。
しかしこの方法はコストが安く成果が出ているにも関わらず、遺伝子組み換えを恐れ良しとしない世論から反対の声が多いようです。
このようにして、蚊全体の量を減らす実験は、各地で繰り広げられています。
大変な取り組みですが、各地で色んな方法が試されているんですね!!
蚊が絶滅したら生態系に影響はある?
さて、嫌な存在ではありますが、蚊だって生きとし生けるもの。生態系の一部を担っています。それでは、もし本当に蚊が絶滅したら生態系への影響はどんなことが起こるのでしょうか?
『福島虫の会』に所属されている専門家・三田村敏正氏によると、
蚊の仲間は、生態系の比較的下位に属しますが、他の生き物の重要なエサとなっています。
蚊の幼虫ボウフラの時は、ヤゴやゲンゴロウなどの水生昆虫、フナなどの魚類のエサとして重要です。成虫では、トンボやクモなどのエサとなっている他、コウモリも極めて多数の蚊をエサとすることで知られています。
したがって蚊がいなくなることでこれらをエサとする生き物たちがいなくなったり、数が減ったりすることが予想されます。
(出典:デング熱猛威で気になる 「蚊」、絶滅したら困ることって?:Exciteニュース)
と、おっしゃっています。
しかし、「蚊がいなくなれば、またすぐに蚊の代わりに他の虫がターゲットのエサにされるから大丈夫なのでは?」といった意見もあります。
確かに、自然界は弱肉強食の世界ですからね…。厳しい世界です。
蚊を絶滅させることは可能?
蚊は、世界中にものすごい量がいます。
ですから、短期間で絶滅させることは不可能ではないでしょうか?
いくら科学が発達したからと言って、自然界の生物を簡単に絶滅させることなんてできるのでしょうか?
しかし、長期的なスパンで考えると先程申し上げたような不念雄散布などの取り組みも試みられておりますし、絶対に不可能ではないと言えます。
ただし、そのためには、自然界に存在する大量のメスの蚊に匹敵する量の遺伝子組み換えしたオスの蚊を作り出し、撒き散らかすことが必要ですので、とても大変な作業となるでしょう。
鳥などで言えばトキ、その他には阿寒湖のマリモなど天然記念指定物になってるような無害な希少価値の生き物だっているというのに、有害な蚊やゴキブリなどはしぶとく生き残っている…。皮肉なものです。
蚊は人間にとって危険?
蚊が人間にとって危険かそうでないかというと、それは大変危険です。
なぜなら、よく知られている事ですが、蚊を媒体として人間に重い病気をうつしてくるからです。
例を挙げますと、人間にとっては有名な「マラリア」、犬にとっては「フィラリア」など。蚊の病気を運ぶ絶大な感染能力はあなどれたものではありません。
他にも一般的に腫れやかゆみを残してきますし、妊婦さん達にとっては、感染病の原因として大変心配な存在なのではないでしょうか?
有害なことはあっても、有益だったり無害だったりすることは一切ありません。
蚊の遺伝子組み換えとは?
ひとつめの項目にも書きました通り、「不念雄散布」という方法があります。
これは、オスの蚊がサナギの時点で特殊な放射線を当て、生殖能力を破壊したオスを生産するといった方法です。
そして、自然界の蚊と交尾をさせて何代か先の蚊を産まれなくさせていくといった方式です。
但し、「メスの誕生を阻害する遺伝子が、マラリア原虫経由で別の生物に取り込まれオスばかりの生物が増えたら大変なことになる」という不安を危惧した声も上がっております。
先程も申し上げました通り、蚊の運搬能力や感染能力は優れたものですので、これらのことが絶対に起こりえないということは断言できませんね。
ですから、これはなかなかに難しい問題ではないでしょうか。
ここまで読んでみまして、皆さんいかがでしたでしょうか?どのような考えをお持ちになられましたか?
厄介で人間や他の生物にとってはいいことなしの存在である「蚊」。
しかしながら、蚊の絶滅!!となると、なかなかに困難な壁が立ちはだかっているのも事実です。
個人的には、蚊はゴキブリなどと同様にこの世から絶滅すればいいと考えておりますが、そうすると今度は、「また次に厄介な生物を見つけ出して標的にするのが人間なのではないか?」とも思います。
蚊もゴキブリも、確かに厄介だし病気の媒体となるのは危険ですが、人間のエゴで絶滅を願うのもまた考えものなのでは…?とも思います。
感染病などの問題を考えれば、絶滅してくれるのが一番良いんでしょうけどね。