「こたつでみかん」はなぜ日本の冬の定番になったのか?!
公開日: : 最終更新日:2019/01/22
「こたつ」といえば、冬の季語として真っ先に挙がるくらいです。さらに、「こたつ」から連想するものといえば、みかんと答える人がかなり多いのでは?
年代にもよりますが、こたつでみかんを食べる家族の姿は、日本の冬の一家団らんの姿として定着しています。
年数の経過と共に家族の人数が減っていくと、ふと、こたつを囲んでみんなで賑やかにみかんを食べていた姿を懐かしく思い出します。
それにしても、「こたつでみかん」はなぜ日本の冬の定番になったのでしょうか。
昔の人は知恵があるから、きっと何か科学的な理由もあるに違いありません。興味ありますね。
「こたつでみかん」がなぜ冬の定番になったのか?
冬といえば「こたつでみかん」これが定番ですよね。若い人は違うでしょうが、昭和生まれの方ならば九分九厘そう答えるに違いありません。実はそれには理由があったのです。
まず第一にこたつの普及です。
まだエアコンが普及していなかった昭和30~40年代、こたつはなくてはならない暖房器具でした。
ですから寒さが厳しくなる季節には、当然こたつに家族が集まってきます。狭いコタツの中で足の場所取りになり、よく兄弟げんかしたものです。その後、決まって父親からゲンコツをもらっていたのを今でも覚えています(笑)
時代は進み、平成へと移り変わった今、エアコンの国内市場は800万台と言われています。
そう考えると、一家に一台はあった当時の暖房器具「こたつ」は、かなりの需要があったと言えます。
こたつが日本家屋の冬の暖房器具として広く普及したことが、定番の土台になったのです。
次に挙げられるのが、みかんの栄養価の高さと気軽さです。
特にビタミンCの豊富さが重要なポイントである事に加え、値段も安く近所の八百屋ですぐに手に入るという点では庶民の味方であったと言えます。
こたつが登場するのは冬です。冬は風邪にかかりやすい季節でもあります。体力が落ちて免疫が低下していたり、ビタミンCが不足していると風邪にかかりやすいと言われています。
海外では、風邪の患者に一時的にビタミンCを大量に投与するという治療法が発表されたと聞いたこともあります。といっても、ビタミンCが風邪の薬になるという意味ではありません。
風邪を予防したり治したりするホルモンは体内で作られます。ビタミンCは、そのホルモンを作るための材料になり、ウイルスの繁殖を防ぐ働きをするのです。
ですから、みかんを食べながら自然に風邪の予防をするという習慣は当時としては理にかなっていたのでしょうね。
また当時の日本家屋では、家族が集まる居間にテレビが一台にコタツが一台という状況が普通ですから、必然的に家族が集い、コタツを囲み、足の指でつねり合いっこをしながらミカンを食べるという光景が一般家庭の姿だったのです。
現代では家屋のありかたそのものが欧米化し、畳からフローリングの生活に代わり、居間での団らんから各人が個室で過ごすことが一般化しました。暖をとるにもファンヒーターやエアコン、床暖房へと暖房器具もシフトしました。
田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの家でコタツを見ると懐かしくホッとした気持ちになりますよね。なぜか郷愁をそそるアイテムなのです。
時代は変われどいつまでも無くなって欲しくないと思える物のひとつが「コタツでみかん」である事は間違いありません。
みかんの栄養
柑橘類はビタミンCが多く含まれていることはよく知られていますが、「こたつでみかん」の温州みかんには、他の柑橘類にはなかったり、何十倍も多かったりする成分が含まれていることが分かりました。
そのひとつは、シネフィリンという成分です。これは温州みかんだけに含まれていて、風邪に有効な成分です。
ビタミンCとの相乗効果で、風邪に対する免疫力を高めます。
また、気管支の筋を緩める作用があり、喉に関係した風邪に効果があるようです。
もうひとつは、βクリプトキサンチンです。
これは、温州みかんで特に含有量が多く、オレンジやレモン等の柑橘類の約60倍以上なんだそうです。驚きですね。
βクリプトキサンチンは、にんじんのβカロテン、トマトのリコピンなどと同じ仲間で、抗酸化力が強く、美容やがん予防に効果的な成分として注目されています。
みかんの効能
「みかんの栄養」でお知らせした以外には、以下のような効能があります。
- クエン酸には、疲労回復・美肌効果があります。
- みかんの薄皮には食物繊維とペクチンが豊富に含まれています。
- 食物繊維は、整調作用・便秘解消に、ペクチンはコレステロールを低下させ、抗がん作用まであります。
- ヘスペリジン(ビタミンP)には、脳卒中予防の効果があります。カリウムは、高血圧を予防します。
みかんは美味しいだけでなく、美容と健康にも欠かせないものなのです。みかん恐るべし。
みかん離れと日本のこたつ事情
かつてはどの家庭でも当たり前のように見られた「こたつでみかん」の光景ですが、年々減ってきています。
原因はいくつかあると思いますが、家庭からこたつが姿を消していることが大きいのではないでしょうか。
かつての囲炉裏から便利な電気ごたつになり、一家に一台は必ずありました。
しかし、エアコンの普及、保温性の高い部屋の作り、フローリングの部屋の増加などで、電気ごたつの生産が激減しています。
ある統計によると、平成2年の電気ごたつ国内生産台数は約187万台だったのが、9年には100万台を割り込み、15年には約24万7千台まで落ち込んでいます。16年以降は調査すらされていません。
一方、みかんはといえば、昭和48年に約305万トンあった出荷量が年々減少し、平成24年の調査では約75万7千トンにまで縮小しています。電気ごたつの生産台数とみかんの出荷量を折れ線グラフに表して重ねれば、いずれも急激な右下がりになっています。
日本の家からこたつが消え、それに伴ってみかんも食べられなくなってきたのでしょうか。若者達の果物離れや人々の果物嗜好多様化もあるようですが、なんだか寂しいですね。
なぜ「こたつでみかん」が日本の定番に?
それは、まずはこたつの普及。
そして、みかんから風邪予防に効果的なビタミンCを中心に、体に良い栄養を手軽にとることができたことが大きな要因だったと言えます。
こたつが登場する時期が、ちょうどみかんが旬を迎える時期と重なります。
寒いし、いったんこたつに入ったら出るのも億劫になります。そんな中で、テレビを見ながら自然にみかんに手が伸びるという光景が、冬の風物詩として定着してきたのでしょう。
気がつけば5個10個と食べてしまいますね。
でも、食べ過ぎると冷えや下痢の原因になります。気をつけましょう。
そうそう、できれば薄皮もすじも一緒に食べましょうね。