梨の種類と特徴!味の違いと歴史は?
公開日: : 最終更新日:2018/10/16
夏は水分たっぷりでシャリシャリ感が楽しい梨が人気ですね!
以前は収穫の秋に食べる印象が強かったんですが、品種改良の進んだ最近では7月から市場に並び始めます。7月4日はナシの日だそうですよ。
今回はそんな梨に焦点をあててみました。
早々と7月に旬を迎える新水
25年の収穫量を見ると国内で日本一は千葉県でした。さすがふなっしーのいる県ですね。しかし購入のほう、消費量を見ると鳥取県がダントツ1位。二十世紀梨のブランドイメージ最強といったところでしょうか。
日本で扱われる梨は
- 和梨
- 洋梨
- シナ梨
があり、品種を大別すると
- 赤梨
- 青梨
の2種類があります。
7月の終わりから収穫時期を迎える梨は新水といいます。赤梨で、よく冷やしても甘みの強い、糖度の高さが自慢です。
しかし病気に弱いことやサイズが小さいこと、気温の高いところに放置されると皮の色が変わりやすいことなどの難点があり、二十世紀並みの日持ちを期待された新水は適応外となって市場から消えてしまいました。
栽培面積が減少している新水ですが、この新水を親に持つ「南水」は定番品種の1つとなっています。
新水を選ぶ時は、全体がふっくらとしていて、果皮に張りのあるものがおすすめです。また適度な褐色に染まり、皮に傷がないものがいいでしょう。
保存する際は、乾燥や高温に弱いため、新聞紙などで包んでからポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に入れておきましょう。
早ければハウス物で7月上旬から収穫される幸水も赤梨系です。1959年(昭和34年)に登録された品種で、交配種の菊水と早生幸蔵から名前をもらいました。
>果肉が柔らかく水分が豊富で甘味の強いのが特徴です。水分が多いせいか傷みやすいのが難点ですが、冷蔵庫でじっと冷やしておけば大丈夫です。
主に千葉県、茨城県でよく栽培されています。
梨は、全般的に軸側よりもお尻のほうが甘いので、食べる際は、縦に等分すればそれぞれに甘味が行き渡ります。
甘味が強いので、生食がおすすめですが、鮮度が落ちた場合は、砂糖で煮込んでコンポートにするとよいでしょう。冷やして食べるとひと味違う味わいが楽しめ、ケーキやタルトにも活用できます。
また、梨をすりおろしたものは肉をやわらかくする効果があるので、肉料理に使うのもおすすめです。
赤梨の代表
明治26年に神奈川県で発見された長十郎は、全国的に栽培されるようになりました。果肉は硬めで、歯ごたえがあります。学校給食のデザートにも出されるほどポピュラーで人気が高かったのですが、新品種に押されて現在ではあまり見かけなくなってしまいました。
梨狩りよりも地方発送の需要が増えて、高級イメージのある幸水のほうが贈答品として好まれるようになっていきました。茶色い皮が赤っぽくなってきたら食べごろです。
青梨の代表
長十郎を最初に脅かしたのが明治21年に千葉県で発見された二十世紀で、当時は青梨新太白という名前でした。梨の病気に弱かったのですが、昭和2年に克服されてから、一気に市場に出回るようになりました。
二十世紀から改良されたゴールド二十世紀、おさ二十世紀を経て、現在は瑞秋が2005年から二十一世紀梨として出荷されています。果皮が青みがかっていて、少し黄色くなってきたら食べごろです。むいた実肌はツルッとしています。
中間品種?
主に関東で人気のある豊水は、1972年(昭和47年)に品種登録されました。
菊水と八雲の交配種とされて赤梨の仲間だったはずが、DNA鑑定をして幸水と石井早生と二十世紀の子供である可能性が強くなりました。赤梨の代表と青梨の代表のサラブレッドなら美味しくて当たり前という感じでしょうか。
果肉が柔らかく水分は多めで、日持ちもします。まさに良いところ取りしてます。甘いなかに酸味が感じられるのもご愛嬌ですね。
市場に出回るのはだいたい8月後半からになります。
優秀な梨
ところで、ここまで読まれてアレっと思われたかた、鋭いです。
新水、幸水、豊水の3つを『三水』といい、どれも菊水の系統になります。実は菊水はほとんど出回っていません。名前を知らないかたも多いのではないでしょうか。
は、20世紀を改良した青梨です。
つまり赤梨の代表である幸水も、実は青梨とのサラブレッド。ということなんです。もう赤梨でも青梨でもどっちでもいいじゃん、て言いたくなります。
日本一の梨
弥生時代から食べられてきた梨は品種改良が盛んなため、品種が多く、生産農家が国内に一農園しかないとか、普通にあったります。
日本テレビの深夜番組『月曜から夜ふかし』でマツコ デラックスさんが食べ比べした梨は日本一を競うということで、4品種が選ばれていました。
- 千葉のかおり梨
- 埼玉の彩玉
- 鳥取の二十一世紀
- 高知のあきづき
どれもこれも、ひとくちでデザート、美味すぎる、比べられない、ものすごくジューシー、と大絶賛でした。
マツコさんは思いっきり個人的な好みで申し訳ないと謝罪まじりに最終的にはひとつに決定しましたが、どれも遜色ない梨であるようです。
高知県産で知られている梨は、ほかに新高があります。10月に収穫される梨で、時期がずれるので人手の少ない農園がほかの品種と合わせて栽培したりしています。ひとつが1kgにもなる大型種で、新潟の天の川と高知の今村秋を交配したので、産地から名前をもらっています。
収穫がいちばんズレている梨
最後に変り種をご紹介しましょう。収穫が遅いといっていいのか、早いというべきなのか迷うのが新雪です。収穫時期は1月上旬から、5月にまで及びます。
実がかたいので、追熟が必要なため、1ヶ月くらい置いておかれます。歯ごたえがあって、水分もたっぷり、さっぱりとした甘さが人気です。
日本では1農家しか生産していません。ほらね。
まとめ
赤梨と青梨の種類と特徴は以下でした。
- 赤梨(厳密に言うと青梨とのブレンド)の代表は「幸水」。よく冷やしても甘みの強い、糖度の高さが自慢。水分が多いせいか傷みやすいのが難点だが、冷蔵庫でじっと冷やしておけば大丈夫
- 青梨の代表は「二十一世紀梨」。果皮が青みがかっていて、少し黄色くなってきたら食べごろ。むいた実肌はツルッとしている。水分が多めで、どちらかというと酸味が強い
- 赤梨と青梨のブレンドは「豊水」。果肉が柔らかく水分は多めで、日持ちする。まさに良いところ取り。甘いなかに酸味が感じられる
梨は関東では豊水、とか、関西で鳥取、いやいや幸水がいちばんでしょ、なんて一般的なイメージが定着しているものの、フタを開けてみたら現状はこんなふうでした。
旬を外すと美味しさが半減するという難しいフルーツでもありますので、1回で好き嫌いを判断せず、いろいろ召し上がってみてください。