節分に恵方巻きを食べる起源は?食べるとどうなる?
公開日: : 最終更新日:2019/01/03
30年前、関東にいた頃は節分の行事といえば豆まきだけでした。
でも20年前、結婚して大阪に来てみたら、なんと恵方巻きなるものが……。
今ではスーパーやコンビニで予約販売されているし、全国ネットのCMでも見かけるようになりました。しかも、ものすごく凝った太巻きがたくさん……! お値段もかなり贅沢なものに仕上がっています。
いつの間に?
今回は、そんな節分の恵方巻きの起源や食べ方について調べてみました。
節分に恵方巻きを食べる起源は?
節分に、毎年決まった方角を向いて太巻きを食べる習慣は、関西から広まって比較的最近になって定着してきたように思いますが、さて、いつからあった風習なのでしょうか。
太巻きが文献に登場するようになったのは、1777年(安永5年)。
その年の方角は干支によって決まるもので、陰陽道で縁起が良いとされる歳徳神(としとくじん)がいるとされています。
その方角を恵方(えほう)と呼び、太巻きを恵方巻き、恵方寿司と称するようになりました。
節分に太巻きを食べる習慣に恵方が取り入れられだしたのは江戸時代末期、大阪の船場で商売繁盛の祈願をしたのが最初、だそうですが残念ながら詳細は不明です。
また豊臣秀吉の家臣の堀尾吉晴が節分の前日に太巻きを食べて出陣したところ、戦に大勝利したという故事をもとにしたのではないかという説も以前いくつかのテレビで紹介されていました。
調べてみるといろいろな説が出てくるのですが、太巻きも散らし寿司などと同様に昔はごちそう=縁起の良い時に食べたということは多そうです。
ちなみに私が住む地方ではどちらかというと節分には散らし寿司を食べる家庭が多いですね。
大正初期には花街で流行ったようですが、どちらかというと一時は廃れていました。
大阪の道頓堀で海苔問屋協同組合が開催したイベントによって1970年代から世間の関心を集めるようになり、関西地方で一般的な行事になりました。
そのイベントとは、道頓堀で巻き寿司の早食いを競う「巻きずし丸かぶり(丸かじり)早食い競争」なんだとか!
実は1970年頃までは海苔の国内生産が追い付いていなく韓国産を多く使用していたそうですが、その後国内生産が増大して今度は海苔の過剰生産が起こった為、海苔のPR活動の一環としてイベントを開催したそうです。
「丸かじり」「早食い」というキーワードが今の恵方巻きに通ずるものがありますね。
恵方巻きは特別な具材を採用されて1990年代前半からスーパー、後半からはコンビニエンスストアで全国に発信され、2003年以降、賑やかな商戦に乗って各地に広まっていきました。
恵方巻きの食べ方は?
恵方巻きは当初、お新香を巻いただけのシンプルな物だったようです。
それが縁起物とされて、七福神にちなんだ具材七種類、かんぴょうやキュウリの他にうなぎや伊達巻などが増やされ、福を巻き込んだといった意味合いが付加されていきました。
縁を切らない、という暗喩をこめて、恵方に向けて目を閉じ、願い事を思い浮かべながら黙って1本、切らずに丸ごと食べます。
そのため、恵方巻きは別名、丸かぶり寿司、丸かじり寿司、とも言われています。
長さは海苔1枚分を使用するので海苔の一辺の長さ、ということになりますが、小さな子供には配慮して短めに細めに作っても構わないと思います。
最近は予約販売されるほどの熱の入れようで作られる恵方巻きは、肉やエビなどかなり贅沢な具が巻かれるようになってきました。
縁起担ぎに食の楽しみを上乗せした行事になってきていると思われます。
2018年の恵方巻きを食べる方角は?
2018年(平成30年)の干支は戌年(いぬどし) で、吉方は南南東やや右です。
節分は2月3日土曜日。立春が2月4日なのでその前日です。
今でも九星占いなどでは節分を区切りにしていますが、昔は立春が1年の始まりでした。つまり、節分の日は大晦日に当たったわけです。
現在は大晦日の夜に年越しそばを食べますね。昔の巻き寿司を食べる風習はこれに近い意味合いもあったのかもしれません。
ですから恵方巻きを食べるのは節分の夜が望ましいということになります。
2018年の節分の夜は、豆まきしたあとに南南東やや右を向いて、願い事を思い浮かべながら黙って太巻きにかじりつくことにしましょう。よそ見は厳禁ですよ。
恵方巻きを食べると良いことがある?
黙って食べる、方角から目を逸らさない、1本を一気に食べきる、などの約束事がたくさんあって、ハードルをクリアしたら何か本当にご利益がありそうです。
願い事を思い浮かべるのですから、叶えば万々歳ですね。
大晦日から元旦にかけて、という感覚を念頭に置くと、これは初詣をして神社で手を合わせるようなものではないでしょうか。
初詣でも、願い事をしてお賽銭を出しますよね。でも、叶ったかどうかを確認したり、叶わなくて怒ったりするひとはあまりいないような気がします(個人的には、受験の合格祈願は初詣の主旨から外れているかと)。
とりあえず縁起担ぎですから。
良いことがあるかも、叶うかも、とウキウキしながら美味しい恵方巻きを食べましょう。
笑う門には福来たるですよ。
鬼は外、福は内、の節分ですからきっと幸せがやってきます。
恵方巻きにオススメの具あれこれ
七福の恵方巻きということで、7種類の具を巻くレシピがネットにも溢れています。
一般的に巻き寿司の具として挙げられるのは、前述のとおり、たくあん、かんぴょう、キュウリ、うなぎや伊達巻か卵焼きに桜でんぶ、カニカマ辺りでしょうか。
海鮮巻きをご所望であれば、エビ、サーモン、マグロなどで彩りが違ってきます。張り込んでイクラやタイ、イカ、ブリ、サバなどもあり。
グリーンリーフや芽ネギ、クリームチーズなどで変化を楽しむことも。最近はエビカツや、ツナなども普通に入っています。
トンカツやステーキ肉などを入れて、ボリュームアップも可能ですね。あまり欲張りすぎると巻けなくなりますので、要注意です。
具は細長く1本分入れることが、目的を考えると望ましいのだと思いますが、ノドに詰まらせないように程々に。
1本を細めに作って、あとは普通に一口サイズに切ったものをいろんな具で作って楽しむパーティ形式にするのもアリだと思います。
恵方巻きの正確な起源は、残念ながら不明でしたが、太巻きの歴史は案外古いものでした。
どうやら節分は昔の人にとって大晦日、恵方巻きの縁起担ぎは新年を迎える行事に通じていたようです。
美味しい恵方巻きを家族で楽しみ、福を呼び込みましょう。今年も幸あれ。